Vol.5 キリム文様小辞典

起源はペルシャ絨毯よりも古く、4000-5000年前ともいわれるキリム。そのモチーフやデザインには民族や部族のプリミティブな祈りや願いが織り込まれている。悠久の時の流れの中でゆるぐことなく伝承されてきた文様、イスラム教のタブーによって抽象化された文様、ヨーロッパの趣向に合わせて生まれたデザイン・・・。イラン、トルコのキリムを中心によく見かける文様と、その背景的意味をまとめてみた。

水差し

水差し浄化、清めの式、女性の妊娠を象徴したもの。

水差し

男と女

男、女、子供それぞれの形がある。子供を授かりたいと願う形、出産する形、ヒップに両手をのせた母親像(多産・母性を意味する)など人間讃歌である。

男と女

手&クシ

5本線、5つの点などは、指あるいは手を意味し、イーヴィルアイ(悪魔の目。オリエントに古くから伝わる邪悪なもの)から守ることを象徴している。クシは、誕生や結婚の意味をもつ。

手&クシ

豊穣(肥沃、多産)

小ムギ、大ムギなど穀類の豊穣を願うモチーフ。ケシ、メロン、イチジク、ブドウ、クワなどの豊作も。

豊穣(肥沃、多産)

愛

アジアから伝わったモチーフで、男と女のハーモニーや和合を意味している。

愛

お守り&イーヴィルアイ(悪魔の目)

魔除けのモチーフ。一{ 角形が外部的危険から身を守ると信じられていた。また、イーヴィルアイ文は、傷、不幸、死などの力を弱めると信じられていた。

お守り&イーヴィルアイ(悪魔の目)

星

幸せ、豊穣、母親の子宮を象徴し、基木的には6つの輝きを持つ星で、ソロモンの封印としても知られる。8つの輝きを持つ星もある。

星

ドラゴン

西洋の神話に出てくるライオンの足、ヘビの尾、翼を持ち時に火を叶く想像hの動物。暴力、悪を象徴するが、宝、女性、泉を守るという説もある。

ドラゴン

波

人類のための水の大切さをテーマにしたもの。迷路、雲、水差しなどをモチーフにしている。

波

メヘラビ

聖地のメッカの方角を示す壁寵(へきがん)の文。祈祷用ラグに欠かせないモチーフ。

メヘラビ

ボテ

糸杉、ゾロアスター教の聖火、イーヴィルアイ(悪魔の目)を形どったというさまざまな,言見がある。ペルシャの代表的モチーフ。ヨーロッパに伝わりペーズリーと呼ばれるようになった。

ボテ

フック(カギ)

魔除けのモチーフ。鍵をかけて悪魔、邪悪なものを中に入れないという意味がある。

フック(カギ)

羊の角

肥沃、武勇、力、男らしさを象徴している。

羊の角

鳥

烏ほど多様な意味をもつものはない。幸せから不幸への巡り合わせ、楽しみと愛、死人の魂、女性、期待、力など。

鳥

ラクダ、シカなどの動物たち

偶像崇拝はタブーとされたアナトリアのキリムには余り見られないが、ペルシャのキリムには所々で見られる写実的なモチーフ。生活を共にする動物たちへの愛情が込められている。

ラクダ、シカなどの動物たち

花

キリムのボーダーによく使われるモチーフ。エデンの園に例えたバラ、カーネーション、チューリップ、ヒヤシンスなど。チューリップは、男の子を授かりたいと願った表現。

花

サソリ

猛毒を持つサソリ除けのモチーフ。時にドラゴンを象徴することもある。

サソリ

オオカミの口&足あと

オオカミの口や足あとは、遊牧民の牛(みごもった)を襲うオオカミから守る願いが込められている。

オオカミの口&足あと

ギュル

イラン東北部、アフガニスタン北部に住むトルコ系部族(トルクメン)の織物に見られる文様。部族、家柄を示す紋章。

ギュル

ヘビ

人類の発生時にさかのぼるモチーフ。黒ヘビは幸せ、豊穣、多産を象徴する。

ヘビ

生命の木

男の成功、不死を願ったモチーフ。糸杉、ナツメヤシ、ザクロ、イチジク、オリーブ、オークなどは"生命の木"の象徴。

生命の木
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